7 配付した参考資料 別紙のとおり
8 議事の
経過概要 別紙のとおり
議事の
経過概要
開会宣告 9時58分
1 琵琶湖に関する主な施策の状況について
(1)水草・
オオバナミズキンバイ等の状況について
(2)
農業濁水対策の状況について
(3)琵琶湖の
水産資源対策の状況について
(1)当局説明
中嶋琵琶湖保全再生課長、
矢野自然環境保全課長、
平井農政水産部技監、
山田水産課長
(2)質疑、意見等
◆竹村健 委員 まず、
オオバナミズキンバイ等の現在の状況は比較的安定しているという説明だったと思いますが、試験曳きの調査結果のグラフを見ると、まだあります。
オオバナミズキンバイは徹底して取り除こうとされていますが、その他の水草については対策として、どのレベルまで減らしたらいいのか、適正な量というのがあるのでしょうか。
それと、資料1の3ページの
水草等対策技術開発支援事業で3つの商品が紹介されていますが、なりわいとしてもうかっているのか聞かせてください。
3点目に、資料1の12ページに
栽培環境下での
オオバナ・ナガエに対する除草剤の効果と書いてあるのですけれども、どういう仕組みなのか、詳しく教えてください。
最後に、漁業はもうからないので、もうかるようにしないといけないということだと思いますが、何でもうからないのか、どのように考察しておられるのか、端的に教えてください。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 オオバナミズキンバイ外の水草に関しましては、長期的な目標を立てております。南湖の
水草繁茂の望ましい状態とされている1930年代から1950年代が、琵琶湖の健全性が一定保たれている時代とされているのですが、その時代における
繁茂面積が大体20から30平方キロメートル、南湖全体の面積の大体4割から6割ぐらいに近づけることを、2050年頃までの長期の目標としています。短期的には、2023年ぐらいまでには夏期の
水草繁茂のピークを抑制するということも目標として設定しておりますけれども、少なくとも、長期的に望ましい状態とされている
繁茂面積を安定的に維持していくための必要な対策を講じていくこととしています。
次に、
技術開発についてですけれども、委員も言われたように、既に商品化されているものが3つありまして、そのうち明豊建設の湖の恵は、県内外を問わず既に
販売ルートをかなり広げ、関連する新商品も出て、それなりの売上げがあるという報告を受けています。かつ、市が応援基金として、令和2年度、令和3年度と連続してその売上金の一部から約30万円を県に寄附をしていただきました。
また、水草を色原料とした
ガラス工芸品等も、県内外の
デパート等での販売網が広げられてきており、今後のさらなる販売展開について、県として必要な支援を講じてまいりたいと考えております。
◎矢野
自然環境保全課長 いただきました質問の3点目、
栽培環境下で実験的に
オオバナ・ナガエに対する除草剤の効果の解明については、環境省の
直轄事業として薬剤、除草剤の効果を検証、解明するということで取組を進められております。除草剤の難しさは、植物だけに効く、また、水域に広がっていかないところが重要なポイントでして、閉鎖的なエリアで植物のみにその効果を与えて枯らす、また周りには広がらないということができるかどうかを、実験的に検証している状況です。
◎山田
水産課長 漁業がもうかっていない状況についてですが、やはり一つには、資源が非常に少なくなって、
水産資源を取りたくても取れなかったという状況があります。これに対しては、やはり安定して取れるような姿にしていくために様々な取組をしなければならないところですが、その一方で、近年特に顕著となってきておりますのが需要の問題です。特にコロナを受けまして、
琵琶湖漁業の特徴でもあった特定の売り先の脆弱性が顕著になってきたところです。特に
ホンモロコなどにつきましては、資源が回復してきている中で、需要がなくて取っても売れないという状況が発生しております。ですので、需要を回復させるとともに、新たな流通の形を取り組んでいくことが必要となってくると考えています。
◆竹村健 委員 最初の質問で、要するに、今の藻の刈取りではまだまだ駄目で、継続的にやっていかなくてはいけないということですか。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 実は、長期的な目標に対して、面積的にはかなり近づいているのですが、年度間の
ばらつき等もございます。また、湖底にはリンなどの栄養塩の蓄積が十分にあると言われていまして、気象条件次第で再び大量繁茂する可能性も常にあるということですので、継続的に一定の対策の実施が必要だと考えています。
◆竹村健 委員 2点目の
技術開発のところですけれども、なりわいとして一定回っているという話でしたが、今の水草を上げている量からすると、余っている水草をもっと使っていかないと駄目だと思います。例えば、湖の恵はビジネスとして成り立っているという話ですけれども、では全ての水草に対応できるかというとそうではなく、かなりの量の処分等を考えていかないといけないということでいいのですか。今後も
技術開発支援は続けていかないといけないのですか。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 湖の恵をはじめ、商品化しました3つの商品で使っているのは、実際に刈取り除去を行っている水草全体のうちの本当に一部に過ぎないと推計しています。今は、基本的に堆肥化して無料配布するということがメインとなっていますが、今後の
ビジネス化に向けて、売上げの拡大、あるいは参画する企業の拡大というものを視野に入れながら、単に水草を堆肥化して無料配布するのみでなくて、水草活用のいわゆる高度化、付加価値を付けて、高い商品として、滋賀県ならではの商品としてPRしていくということも含め、ビジネスの種をできるだけ多く作るように、県として一定の支援をしているところです。
◆竹村健 委員 3点目の除草剤のことですけれども、普通に考えたら、
オオバナミズキンバイと
ナガエツルノゲイトウは、琵琶湖とその周辺で生息しているので、除草剤を使うと、それが琵琶湖に流出する懸念もあると思います。例えば琵琶湖に流れてもいいようなものという視点でやったりしているのか、その辺りを教えてください。
◎矢野
自然環境保全課長 今、環境省で研究しているのは、一般的に農業用で使われているもので、外に出さないようにするための研究の部分が強く、流れてもよい薬剤の開発というところまでには至っていないというのが現状です。
技術開発に関しては、民間の事業者の中に、植物に直接注入して周りに広げないような技術を開発しようとしている事例などがあるところです。
◆竹村健 委員 例えば除草剤が
オオバナミズキンバイに効くとしても、琵琶湖に対する影響はどうかというのをセットで検証されないと、枯らすことはできても、琵琶湖に入ってはいけないものでは、結局使われないことになります。その辺り、単に
オオバナミズキンバイに効いたらいいだけではなく、琵琶湖に流れても大丈夫だという検証もしないといけないと思います。
最後に、漁業のところで、今も話がありましたように、需要がこれから戻っていくのかどうかという懸念も結構あると思います。
幾ら琵琶湖にアユが戻ったり、魚が戻ったとしても、売れないのなら、結局、琵琶湖の漁業は成り立たないわけです。お米の課題とも共通しているところがあると思いますが、根本的に食生活等が変わっていく中で、どのような施策がいいのかなと思うのですが、ここについて何かコメントをお願いします。
◎山田
水産課長 魚食離れの傾向は全国でも見られますが、とりわけ琵琶湖産の魚介類は、地域性が強かったり認知度が低かったりすることから、この傾向が顕著に現れています。湖魚の流通が縮小していることが、魚価の低迷につながっていると分析しています。その対策としまして、県内に向けては、県民に湖魚の魅力を改めて感じていただいて消費を拡大していくということで、例えば学校給食の取組を続けておりますし、強化していきたいと思っています。さらには琵琶湖八珍といった取組ですとか、また今般、
世界農業遺産に認定いただきましたので、こういったことを追い風にしっかりPRしていくのと同時に、これまであまり届いていなかった、首都圏を含む県外に向けても、もっとPRですとか、物を届ける取組が必要と考えています。この辺りは、流通網の確立というところになってきますので、しっかりとした取組が必要と考えておりますが、滋賀県
漁業協同組合連合会に補助金も出して、そういった取組をしていただいているところですので、引き続きしっかりと進めていきたいと考えております。
◆節木三千代 委員
特定外来生物については、国が
直轄事業を増やすとか、予算を増やすことが大事かと思います。資料1の11ページに、
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、いわゆる
外来生物法の改正がこの5月に行われ、定着した
特定外来生物の防除は都道府県の責務とするが、そのための支援制度を拡充すると書いてあります。琵琶湖は琵琶湖の保全及び再生に関する法律で
国民的資産と位置付けられているので、全国にはいろいろな湖がある中で、琵琶湖はどうだろうと予算を見ていますと、13ページを見ても国の予算が増えた感じがしません。県は努力していただいていると思うのですけれども、
外来生物法が改定されたことでもっと進むと思いますので、その辺りの認識をお聞きしたいと思います。また、全国で見ると、
特定外来生物がため池などに繁茂して、それが農地に入ってくると、非常に大きな影響を与えると聞いています。湖岸でも
オオバナミズキンバイが繁茂していますので、県民への周知がもっと必要だと思いますし、農地に入り込んでしまったら、苗を刈り取るにも困難を来しています。滋賀県がノウハウを持っておられると思いますが、すごく懸念材料かなと思うので、その辺りについて教えていただきたいと思います。
◎矢野
自然環境保全課長 外来生物法の改正を受けまして、これまで
外来生物対策防除については国の責務で実施していたものが、国は新たな侵入に対して、最初に対策をとることとなり、既に定着している外来種の対策は都道府県が中心になって、
基礎自治体と連携して取り組むという規定に改正されています。
一方で、財政的な支援は国から行われるということで、具体的にどのような支援ができるかを、国で検討しているところです。
特別交付税措置の追加についても県から要望をさせていただいていますし、財政支援をできるだけ拡充していただけるようにこれからもお願いをしてまいります。また、これまで長年環境省で
直轄事業として取り組んできていただいていますけれども、ここまで
直轄事業を継続して行っているのは、なかなか例がないぐらい琵琶湖を特別に重要ということで見ていただいているということになります。法律の改正によって、直接的に防除をするということについては、説明で申し上げたような試験・研究的な琵琶湖の事例の中で、しっかりといい対策をして、全国的に活用を広げていきたいというのが環境省の思いでして、そういった国の研究に県も一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
それから、
特定外来生物の農地への侵入は、非常に懸念されるところです。すぐに発見することが重要ですので、まず県としましては、各団体を通じて
農業関係者にビラを配布するなど周知を行っております。発見され次第、情報が届きましたら、県のほうで対策を講じて防除に当たるという取組を行っておりますけれども、これも琵琶湖だけではなく全国的な広がりもありますので、主に
ナガエツルノゲイトウになりますが、農林水産省にも対策の研究を進めていただけるような要望もしておりますので、引き続き、国と連携しながら対策を講じていく必要があると考えています。
◆節木三千代 委員 県として国に予算を要望していくということと、農地のところは引き続き監視を強めるということだと思うのですが、資料1の8ページにありますように、北湖で
ナガエツルノゲイトウが増えています。環境省が
直轄事業で行っているのに、なぜ増えるのでしょうか。それだけ難しいということかもしれないですけれども、その辺りをお聞かせください。
◎矢野
自然環境保全課長 北湖ではいろいろな要因があって、なかなか対策が進んでいない状況にあります。一番繁茂して対策を講じるべきときに、国の予算の執行上のタイミングで、第一の
事業実施開始が遅れたということもあります。また、かなり広い範囲を地道に巡回監視していくのですけれども、大規模な群落を機械で駆除するというところまでは国として手が出せない状況でして、そちらについては県が国と連携して、大規模群落を除去するという対策を講じています。
北湖北部は生き物の環境として価値が高いエリアであり、初期防除が非常に重要なエリアですので、国も巡回監視を中心にやっていただいているのですけれども、残念ながら対策が追いついておらず、近年では拡大傾向にあります。それは国も課題と思っておりますので、県もできる限り一緒になって対応していきたいと話をさせていただいております。
◆節木三千代 委員 何とか管理可能な状況にはしていただいているのですが、ヨシ帯の中など、かなり人力を必要とする場所もあると思うので、私たちも国に要望しているのですけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
◆
中村才次郎 委員 南湖のあるべき姿を1930年から1950年代でという説明がありましたが、まず素朴な疑問なのですけれども、なぜその年代なのでしょうか。それと、自然というのは、どんどん遷移していくものですから、単に水草の広さだけの問題ではないと思うのです。昔はネジレモなど在来の水草も多かったと思うのですけれども、今、問題になっているのは、オオカナダモではないかと認識しています。資料1の2ページにある図3で、根こそぎ除去していただいている場所と、
表層刈取りをしていてくださる場所というのが判例に書いてあるのでよく分かるのですけれども、
オレンジ色の
漁業再生のための対策のところや、黄色に塗ってあるところ、緑色に塗ってあるところは、どのように理解したらいいのでしょうか。また、どういう対策をされているのか教えてください。
先ほど、南湖全体の面積の4割から6割と言われましたが、そこに戻そうと思ったら、
表層刈取りだけではなくて、もっと根こそぎ除去の面積を増やさないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 まず、なぜ1930年から1950年代の年代かということですけれども、数年前に国なども含めて検討して、2050年頃に望ましい状態が大体これぐらいだという定義付けをしました。現在の計画にもそれが継続して明記されているのですが、過年度の検討会において、
水産資源が一定豊富で、漁業活動にも支障がなく、琵琶湖の環境も良好に維持されて、人間の
生活環境にも影響はなかったと考えられる望ましい状態とされるのが大体その頃だろうということで、水草の
繁茂面積や、乾燥重量が現存量としてのトン数という形で定義されています。そうした過年度での検討結果を踏まえて、目標を立てているところです。
次に、自然というのはどんどん変異しているということについてですけれども、1930年代もそうですし、直近では5年、10年というスパンで考えても、仮に面積がそれほど変わらなくても水草の種組成、種類というのは大きく変わってきている状況です。固有種、外来種も含めて、水草の種組成をできるだけ把握して、それぞれの水草の生え方の特徴や時期の
モニタリング調査を定期的に行い、実際の現場を把握し、
関係機関ともそれを共有しながら、できるだけ効率的かつ効果的な
水草対策を計画し、実施してきているという状況です。
それと、資料1の2ページの図3で
表層刈取り、根こそぎ除去の位置と書いています。
オレンジ色の部分が少し見にくいかも分かりませんが、漁場の再生のための対策として水産課が実施しているエリアです。黄緑色の部分につきましては、いわゆる湖流の停滞をなくすという観点で
流域政策局が実施しているものです。
次に、望ましいとされる1930年代、あるいは1950年代の状態に近づけようと思ったら、根こそぎ除去をという話がございました。
表層刈取り、根こそぎ除去ともに、繁茂している現状や市町の方々からの要望等も含め、全体を把握して必要な予算を計上し、対策を実施しているところです。
一方で、根こそぎ除去、
表層刈取りも含めて多額の予算を毎年度費やしているという現状もあります。当然、短期的には夏場の
ピークカット、長期的には、そういった望ましい状態に近づけていくために、予算のより効率的かつ効果的な活用の観点から、それぞれどのような場所でどのような時期に重点的にやっていく必要があるのかということを、
関係機関、関係所属で構成する
水草対策チームの
対策会議で議論をしている最中です。水深4メートルから5メートルの範囲内に水草が特に集中して生えている点もありますので、そういった場所を重点的にやっていくかどうかということで、これまでの取組にさらにめり張りをつけた形で、予算の効率的かつ効果的な執行という観点からも、必要な対策を鋭意検討し、講じていきたいと考えています。
◆
中村才次郎 委員 黄緑色の部分や黄色の部分、
オレンジ色の部分は実際に
表層刈取りなどの対策や
モニタリングをされているのですか。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 年度ごとに生え方や場所、時期などはばらばらですので、主に色づけしたエリアを軸に、その範囲内で根こそぎ除去等を行っています。
◆
中沢啓子 委員 二つ教えてください。一つは、
ナガエツルノゲイトウや
オオバナミズキンバイについて、以前、
土木交通部が管理している河川では、洪水と関係がないと除去してもらえないという話がありましたが、今は見つけたらすぐに除去するという方向になっているでしょうか。
それと、アユの漁獲量が少なくなった要因について、餌不足で琵琶湖のアユを育む力に変化が生じているという話でした。以前は、1万トンとか多くの漁獲量があったのですが、数が多ければ多かったで大きくなれなくて、漁獲高が減るという話がありました。結局、
人工河川でやっても同じような話になるのであれば、その翌年も
人工河川でという循環になってしまうと思います。その辺りを今後検討いただけるのかどうかと、琵琶湖の全循環や猛暑といったことも何か絡んでいるのかどうかを教えてください。
◎矢野
自然環境保全課長 河川区域の護岸の部分ですけれども、
土木交通部と定期的に連携、協議の場を持たせてはいただいておりますが、
河川管理上の支障がある場合の除去は一定のラインがありまして、積極的に防除を行う必要がある場合には、
自然環境保全課が実施しています。
◎辻
流域政策局河川・港湾室長 先ほど、矢野課長からありましたように、水草防除については、
庁内チームで役割分担して実施しています。その中で、生態系の保全や湖流の回復といった環境に関する国の補助事業と合致するような
環境保全や
湖流開発については、河川・港湾室が
河川管理者として協力すると整理しておりまして、現在、刈取り等の部分を担当させていただいているところです。
◎山田
水産課長 今の琵琶湖の状況を
水産試験場で評価しておりますと、一定数量以上の卵や仔魚の加入がありますと、成長が悪くなるといった、負の影響が出てくると捉えております。産卵が悪かった年には、
人工河川で追加の放流をしていますが、その量にも限りがあります。通常でしたら、24億尾程度のアユを流下させるようにしているところを、追加の対策をした年は40億尾程度の規模までは引き上げることができるのですが、それ以上に劇的に増やすというところまでは至らないというのは現状です。そうしたことから、
人工河川によって成長不良を引き起こすということにはなっていないと分析しています。
◎二宮
農政水産部技監 琵琶湖の底には非常に栄養があり、普通に循環していたら、それが上に上がってきて、魚や貝たちが利用しているところです。全層循環が止まると、どういった影響があるかということについては、
水産試験場で検討していますが、今のところその結果は出ていません。
◆
中沢啓子 委員 ぜひ今後も研究して、しっかりとアユが育つ環境をつくっていただくようにお願いします。また、先ほどおっしゃっていた
特定外来生物が河川から田んぼに入るという話も、小耳に挟んでいました。除去するということが非常に大事だと思いますので、ぜひ早めに対策を取っていただきたいと思います。
◆
白井幸則 委員 たくさん湖魚を放流した年に限って育ちが悪くて漁獲が落ちているというような説明がありました。これまで何回か改訂している
琵琶湖ハンドブックの中に、滋賀県琵琶湖の
富栄養化の防止に関する条例を制定した辺りのことが書かれているのですけれども、
富栄養化が進むということは漁獲量が増えるといういい面もある反面、それがさらに進むと、
プランクトンの発生が多すぎてアオコとかいろいろなものが公害になってしまうということです。この条例によってみんなの
環境意識が進み過ぎて、そもそも琵琶湖が魚を育てるだけの栄養もない状態になってしまっているのではないかなと思うのですが、どのように分析されていますか。
◎三和
琵琶湖環境部理事 琵琶湖において、栄養塩が貧栄養になっているのではないかという指摘はいろいろなところからいただいておりますけれども、少なくとも琵琶湖の窒素とかリンの濃度については、
高度経済成長期前とほぼ同じレベルにあります。例えばその時代に漁業がどうであったかということを考えると、今の琵琶湖の栄養塩のレベルが貧栄養になっているとまでは言えないのではないかというのが水質の観点からの見解です。
◆
白井幸則 委員 そういうふうに分析されていると思いますけれども、たくさん放流しても育ちにくいという現実から考えると、たくさん放流した魚たちが全部成長するだけの栄養というか
プランクトンが足りていないとしか思えないので、その辺の分析をしっかりとする必要があると思います。
農産物等でもたくさん取れると、それをまた違う食べ方とか違う形に加工したり保存したりする方法とか、いろいろと
商品開発ができていくと思うのですけれども、漁獲が少ないと、それを新たに応用しようという部分も足りなくなってきます。需要が先か、漁獲が先かということになると思いますが、漁獲をまず上げていただいて、そして、新たなマーケットを創出するような
商品開発もすることによって、また新たな需要が生まれるという好循環を生んでいく必要があると思います。まず漁獲を上げるという意味でいくと、それに必要なだけの
プランクトンが発生するための栄養が足りていないのではないかなと心配するので、その辺の分析もお願いしたいと思います。
◎三和
琵琶湖環境部理事 今の視点については、既に一定受け止めております。単純に濃度が低いとか高いとかいうことではなくて、植物
プランクトンや動物
プランクトンの種類が変わってしまっていて、上手く魚のところにまで回っていないという見解もありますので、この辺りも含めてしっかりと研究を進めて、必要な対策につなげていきたいと思います。
◆今江政彦 委員 近江八幡市には琵琶湖に通ずる西の湖という大きな内湖があり、県民から、最近特に水質悪化がひどい、魚も捕れないということも含めて意見をいただいています。先般、琵琶湖保全再生課にお尋ねして、関係団体と一緒に地域で協議会をつくって調査を行い、7月からは水質浄化の実証実験も始まるということでした。これは限られたエリアの問題だと思いますが、その中でも農業濁水の防止ということも議論もされているようです。これまでも水質浄化のための取組を、県が県民やNPOなどからなる団体に委託してやっていただいたケースもありました。今オフィシャルで、そうした実験が始まったのですけれども、今後、県民やNPOが琵琶湖の水質浄化のために様々な実証実験も含めて取り組むというときに、県がどこまで支援ができるのかということについて、基本的な考えをお聞きしておきたいと思います。
◎中嶋
琵琶湖保全再生課長 委員から指摘のありました西の湖やそれ以外の内湖、それぞれのエリアごとに、抱えている課題や置かれた状況に違いがあると思います。まずは地域で暮らしておられる方々がそのエリアにおいて将来どういう形のビジョンをお持ちで、どういうことをされていくのかをしっかりと議論していただいて、描かれたビジョンに対して、県として必要な対策があれば、そこをしっかりと支援していくということになろうかと思います。
今回は、西の湖で水質浄化のための施策を、地元の方々とも情報を共有しながら進めてきているところですけれども、それ以外の地域においてしっかりと話も聞きながら、県としてどういったことが可能なのかということを考え、必要な対策につなげていかなければならないと考えております。